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運動ニューロン疾患(特に筋萎縮性側索硬化症)

症状

運動ニューロンには骨格筋を支配している神経の源である脊髄前角細胞(下位運動ニューロン)、さらにその脊髄前角細胞に随意運動のための刺激を送ってくる大脳皮質の運動神経細胞(上位運動ニューロン)があります。
運動ニューロン病とは、これらの運動神経細胞がゆっくりと変性していく病気の総称で、上・下位ともにやられるもの(筋萎縮性側索硬化症;ALS)、下位だけ(脊髄性筋萎縮性など)、上位だけ(原発性側索硬化症)がやられるものがあります。症状は筋萎縮と筋力低下が主体であり、構音障害、嚥下障害、呼吸障害などが生じます。一般にしびれなどの感覚障害や排尿障害、眼球運動障害がみられないことが特徴とされていますが、人工呼吸器による長期生存例などでは、排尿障害や眼球運動障害は認められることもあります。

診断・検査

神経学的診察とともに針筋電図・神経伝導速度検査などの生理学的検査が重要です。他の疾患との鑑別(区別)のために、血液検査、頭部MRI/CTなどを行います。近隣の医療機関(東京大学、虎の門病院、日赤医療センター、東京慈恵会医科大学、国際医療福祉大三田病院など)と連携して進めます。約1割程度は家族性のことがあり、また最近では家族歴の無い人(孤発性)でも遺伝子変異が認められることがあります。必要に応じて遺伝子検査を行うことがあります。

治療

残念ながら現在でも根治療法は難しいですが、少しずつ原因の解明が進んでいます。内服ではリルテック(リルゾール)が使われていましたが、2015年からラジカット(エダラボン)の点滴治療が保険適応になっています。また運動障害による関節拘縮予防のリハビリテーション、嚥下障害のための経管栄養、呼吸障害のための人工呼吸管理などが行われます。

代表的な神経難病であり、多くの研究が続けられています。1999年に東京大学で私たちが発見した、ALSの新しい細胞死メカニズムに基づいた内服薬の治験も既に2017年に開始し現在解析中です。同メカニズムに基づいた遺伝子治療も準備中です。またiPS細胞を用いた治療薬のスクリーニングが行われ、京都大学や慶應大学で治験も始まりました。治療可能な亜型や類似疾患もあり、神経内科専門医による正確な診断によって初めて確定診断がなされる疾患ですので、まずは神経内科専門医の診察を受けるようにしてください。

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